鈴姫
しばらく馬を走らせて、街をずっと見渡せるほどの高い丘についた。
丘に来るのが初めてだった香蘭は、憂焔の手を借りて馬から降りると、すぐさま丘の端ぎりぎりまで走りよった。
ここから見ると、城や民家が小さくてまるで玩具のように見える。
何よりも大きく感じていた城は、こうして見るとさほど大きくない。
連なる山々が城を囲むようにそびえ立っていて、城はその中のちっぽけな存在にすぎなかった。
城がすべての世界だと思っていた香蘭は、ただ言葉を失くした。
立ち尽くしている香蘭の隣に憂焔もやってきて景色を見渡すと、おお、と感嘆の声をあげた。
「絶景だな」
「………」
「ここは緑が美しくていい。俺の国は、山はあるけど低い山ばっかりだし、ほとんど平原だからおもしろくないんだ」
「そうなの?」
香蘭はやっと憂焔の言葉に反応し、隣に立つ彼を見上げた。
憂焔は景色に目をやったまま、ふっと笑った。