花恋-はなこい-
ある日の休み時間、

また真由に対して

べったりとつっくつ男子。


真由が身体を小刻みに

震わせながらなんとか

耐えているところに、

「真由!」

息を切らしながら

圭輔が走ってやってきたのだ。


「け、けいくん……」

今にも泣き出しそうな

真由の表情に、

いつもはクールな圭輔が

感情的になり、

男子の胸ぐらをつかんだ。


「お前、

 ……人の彼女(おんな)に

 手ぇ出すんじゃねーよ!」


校舎中に響き渡るほどの

怒鳴り声を上げながら、

圭輔はその男子を

真由から引き離し

その勢いのまま突き飛ばした。



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