花恋-はなこい-
「おはようございます」


校門をくぐり抜けると同時に、

真由と圭輔はそこに立っている

生徒指導担当の先生に挨拶をした。


いかつい顔をした

30代の男性体育教師は、

いかにもそれっぽく

竹刀片手に堂々と

仁王立ちしている。


真由たちの挨拶を聞き、

先生が2人の顔を見る。

するとその顔からは

想像も出来ないような、

にんまりとした

優しい笑顔をこちらに向けた。


「おう、おはよう。

 お前らは、本当に仲がいいなぁ。

 先生にもその幸せを分けてくれよ」


「先生だって、最近結婚して、

 家には可愛い奥さんが

 いるじゃないっすか」


圭輔の言葉を聞いた瞬間、

先生はガハハと豪快に笑い出した。


「まぁ、お前らとまでは

 いかないけどな」


そう言うと先生は

真由たちに片手を振り、

“さっさと行け”

という合図を送った。



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