花恋-はなこい-
小宮南高校は

文武両道を掲げている。


いわゆる偏差値も

一般的に見ると

ある程度高い方だといえる。


だから勿論、

校則も厳しい、

かと真由は思っていた。


しかしいざ蓋を開けてみると、

校則とは名ばかりで

殆どが生徒の自主性に

任されている学校だった。


こうして真由と圭輔が

堂々と付き合っていられるのも、

“生徒の自主性”を

重んじる校風だからなのだ。


「じゃ、またな」


昇降口に着くと

圭輔は真由に向かって声を掛けた。


真由は小さく頷く。


「うん、じゃあね」


いつも通りに言ったつもりが、

今日は一緒に帰れない寂しさが

どうしても言葉に

乗っかってしまう。


少し俯きながら、

真由は教室へと向かった。


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