パラサイト ラブ
何かがガサガサ鳴る音と、鼻をくすぐる美味しそうな匂いで目が覚めた。
視界をクリアにしようと瞬きを繰り返していると
「お、起きたのか。…ただいま」
そんな声が聞こえた。
私はまだはっきりしない意識の中で、こう答えた。
「……おかえりなさい」
それは龍ちゃんとの生活で繰り返された当たり前の挨拶。
だから自然と口をついて出たのだろう。
「うん、いいなぁ。仕事終わって帰ったら誰かが家に居るのって」
呑気な声を聞きながら、段々とはっきりしてきた視界と脳が、目の前の彼が龍ちゃんでなくあの警察官であることを認識した。
「あ…私、ごめんなさい!お布団、勝手に……」
「いーよいーよ。暖房もホットカーペットも入れないで寒かったんだろ?」
彼はそう言って、どこかで買ってきたのか湯気の立つ丼型の容器をテーブルの上に二つ置いた。
美味しそうな、牛丼だ。
嫌でも鼻が嗅ぎ取ってしまうその匂いに反応した私の胃が、それをよこせと言わんばかりに盛大な音で鳴く。
私は恥ずかしくなってお腹を押さえた。