パラサイト ラブ

英に手渡された紙袋で応急処置をして、いくらか呼吸が落ち着いた頃……


私はベッドの脇に佇む英に懇願した。



「私を、帰して……?」



さっきの発作の最中(さなか)、呼吸することだけに支配されそうになっていた私の脳裏に浮かんだのは、他でもない、龍ちゃんの顔―――…


龍ちゃんに、助けてほしい。

龍ちゃんに、抱き締めて欲しい。


言葉にはならないけれど何度も、私は龍ちゃんの名を呼んでた。



「なんでだよ、朝乃……俺たちあんなに愛し合ってたじゃないか。もう一度、俺と―――」


「龍ちゃんじゃなきゃだめなの……龍ちゃんじゃ、なきゃ」



なんで今頃気づくんだろう。

こんな遠回りしなくても、本当は、始めから解っていたのに。



「お願い、英……私を、ここから出して」



英のことは愛してた。


だけどもう……
その愛は、思い出なの。



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