しあわせおばけ
「コロッケの力、偉大なり」
寄り添い、再会に涙する母子を前に、相沢が呟いた。
「…明日香じきじきのリクエストだったし、よっぽど記憶に残ってる味だったんだろうな」
テーブルの上では、まだ大量のコロッケが箸をつけられるのを待っている。
でももうしばらく、待ちぼうけかな。
「相沢がいてくれて助かったよ。俺だけだったら絶対作れなかった」
ありがとう、と言うと、相沢は照れくさそうにしながらも、
「まあな、俺様は何でもできるから」
と胸を張った。
「それにしても俺、やっぱり紗希ちゃん、普通にそこにいるようにしか見えねーんだけど」
「心配するな、俺もだ」
そんな会話を聞いた明日香が、俺たちに視線を向けた。