午前0時、夜空の下で
寂しそうに笑うノーラは、日に焼けることを厭いもせず、窓の外に身を乗り出した。

珍しく今日の彼女は暇そうだ。

朝に生きる女たち。

そして、夜に生きるは高貴なる魔族たち。

心が生きる世界とは違って、昼夜逆転しているこの世界では、光の下に生きる者を厭う傾向があるらしい。

「見栄っぱりな貴族にとって、朝に生きる女を囲うことはステータスになる。それだけの経済力があるってことだし。でも、妻とすることは蔑視されてるわ。……この店はね、ダンナ様の意向で、自らが望めば辞められるの。いくらお金を積まれても、アタシたちにとって不本意な人だったら、売り飛ばされたりしないのよ。ここの蝶になれる女はそれだけのことをしてでも守られる価値がある」

目を細めつつ空を見上げながら、彼女は続ける。

「それに、この世界の女って、結婚を申し込まれたら断れないじゃない? でも黎明館にいるうちは、結婚承諾とかの最終決定権はダンナ様にあるし、むしろ外の女よりは恵まれてるかもね」

予想外の言葉に、心は目を瞬かせた。
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