午前0時、夜空の下で
「あぁ、天族も知らないのか。えーっとね、天界に生きる者をそう呼ぶの。向こうだってアタシらのこと、魔族って呼んでるわよ。天族は……アタシらとは決して相容れない、正反対の存在。こっちが黒なら向こうは白、みたいな。だからこそ、黎稀様の結婚は誰もが驚いたらしいわ。……魔王が恐ろしくて、反対できる者もいなかったみたいだけど」

「黎稀さまって、そんなにすごい方だったんだ……」

呆然と呟く心に、ノーラはにっと笑う。

「でもね! 陛下はその黎稀様に勝るとも劣らないって言われてるのよ!! 限りない魔力はまさに黎稀様の再来だって」

陛下という言葉に、ビクリと心の身体が跳ねた。

そんな心に気づかず、ノーラはうっとりと言葉を紡ぐ。

――妃月、さま……。
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