午前0時、夜空の下で
「当然でしょう。突然現れたかと思えば下働きの真似事をし、女官にはあっさり騙され、陛下に心配をかけた挙げ句娼館に転がり込み、さらには誰に聞かれるかも知れないような場所で貴方様の御名を口にするなど、愚かにもほどがあります」
「私は別に、心が逃げさえしなければ、何をしようと構わない」
普段の王からは想像もつかないような寛大な言葉に、キシナは憮然とした。
モノクルの奥の瞳が、不愉快だとでも言いたげに細められる。
「何故、あのような矮小な人間にそこまで肩入れするのですか?……今宵は見事な満月。ここ最近は曇りがちでしたから、月など見えるはずもないと思っておりましたが。あのような小娘が陛下を想って泣いたというだけで、雲が消え去ってしまうほど、貴方様は喜ばれるのですね」
心が消えてから、月も星も雲に隠れてしまっていた空。
「私は別に、心が逃げさえしなければ、何をしようと構わない」
普段の王からは想像もつかないような寛大な言葉に、キシナは憮然とした。
モノクルの奥の瞳が、不愉快だとでも言いたげに細められる。
「何故、あのような矮小な人間にそこまで肩入れするのですか?……今宵は見事な満月。ここ最近は曇りがちでしたから、月など見えるはずもないと思っておりましたが。あのような小娘が陛下を想って泣いたというだけで、雲が消え去ってしまうほど、貴方様は喜ばれるのですね」
心が消えてから、月も星も雲に隠れてしまっていた空。