午前0時、夜空の下で
特に怒っている訳でもない妃月は、楽しげに問い掛ける。

キシナは何も答えず、無言で肯定を示した。

魔族にとって妃月は絶対の存在だが、それでも人間を受け入れることはできない。

どう考えても心の存在は、王にとって邪魔なものでしかないからだ。

「美しい女など、ほかに掃いて捨てるほどいらっしゃいます。人間など、陛下の利益になるどころか、足手纏いになるとしか思えません」

辛辣なその言葉に、妃月は目を細める。

「この世の絶対的地位に立っている私に、利益など必要ないだろう。……しかし、お前には心を認めさせなければならない。あれの護衛官を命じるつもりだからな」

「!? ……この私に、人間ごときの護衛をしろと……?」
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