午前0時、夜空の下で
その声の主に、心は目を見開く。

「……オオカミ?」

雨に濡れた、灰色の毛並み。

青灰色の瞳。

その神秘的な美しさに、思わず見惚れた。

不意に、彼は目を細める。

「……そなた、魔族ではないな」

凍りついたように動きを止めた心を見て、クツクツと笑う。

「そのように怯える必要はない。この森がそなたを受け入れているのなら、我にとっては魔族であろうが何であろうが、どうでも良いことだ」

「狼が喋るなんて……」

無意識に漏らしてしまい、慌てて口を塞ぐものの、彼は特に気にした様子もなく心に視線を向けた。

「我が珍しいか? 魔族には、獣の姿で言葉を操る者など掃いて捨てるほどいる。そんなことより……娘、名は何という? 何故この森へ来た」
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