午前0時、夜空の下で
夜族から逃げ延びた心は、すでに疲れ切っており、これ以上狼に逆らうことはできなかった。

ふらふらと、森の奥へと進んでいく狼の後を追う。

雨によって全身がぐっしょりと濡れていた。

寒さを感じないほど、体が疲れで麻痺している。

もう、何も考えたくない。

ただただ、機械的に足を進めていく。

気づけば、目の前の狼の足が止まっていた。

どうやら目的地に着いたらしい。

彼の前には、四角く削った石を積み上げた、小さな井戸らしき物があった。

中からは水が溢れ出している。

溢れた水は地中深くへ滲み込み、森の隅々へ行き届いているようだった。

「この水は、神水と呼ばれている。お前たちは、離区にある湧き水を飲んでいるだろう? あれは、この神水が薄められてできたものだ」



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