午前0時、夜空の下で
「ひ、ひづきさま……?」

声が、震える。

あぁどうしよう。

涙で視界が歪む。

見たくて堪らないのに、見えない。

「……心、無事か? ……こころ」

眉をひそめて問い掛ける妃月に、心は無言で頷く。

魔界を統べる王は、不機嫌そうにも見える表情だが、その瞳には心配の色がありありと浮かんでいた。

何度も何度も、心に呼び掛けてくる。



彼が……魔王が、自分のことを気に掛けている。

――ずっと不安だった。

カザリナに会ったときから、ずっと。

……否、この世界にきたあの日から、か。

だって彼は、ほとんど何も求めてはこなかったから。

唯一、血だけは飽きる事無く求められていたのだけど。



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