午前0時、夜空の下で
知らず眉根を寄せた心に、妃月が訝しげな視線を向けた。

「何だ? ……言え」

拒絶を許さないその声に、心は涙を滲ませる。

聞きたいけれど、聞くのが恐い。

心臓がドクドクと嫌な音を立てていた。

忘れることもできずに、何度となく頭の中で繰り返される、カザリナの甘い声や衣擦れの音。

ひどく同情的だったメイジーの言葉。

何度、あの日のことを夢に見ただろう。

黎明館が寝静まっていた深夜に飛び起きたことなど、一度や二度ではない。

ピチャン、と。

涙が水面に落ちる。

その波紋で歪んだ妃月の表情は、ひどく冷めていた。

言葉を発することなく一人で傷つく心に、苛立ちを感じたのだろう。

コクッと喉を鳴らし、震える唇を開いた。



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