午前0時、夜空の下で
ずるい、と思った。

そんなことを言われたら、何も言えなくなる。

ざわりざわりと揺れる木々に、責められているような錯覚に陥る。

お前は魔王の言葉を信じないのか、と。

次に妃月が口を開いた時、その瞳はもう心を見ていなかった。

ズキリと、後悔の痛みが胸を襲う。

「アッシュ、」

依然として冷めた声で、妃月は虚空に向かって呼び掛けた。

「呼んだか、我が主よ」

森の奥から、狼が姿を現す。

「……動きはあったか?」

妃月の目が、一際冷酷に輝く。
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