午前0時、夜空の下で
アッシュは微かに怯んだ様子を見せるものの、心は俯いていたため、妃月の変化に気づかない。

「……夜族が現れたと聞いた」

誰に、など言わずとも王には伝わったらしい。

考え込むように眉根を寄せ、俯いたままの心を見やる。

その瞳が、安堵のためか微かに緩められるのを見て、アッシュは驚きに目を丸くした。

彼の知っている王は、誰かを気に掛けるようなことはしなかった。

冷徹で、残虐で……気に掛けるどころか、興味すら持っていなかったはずだ。

――何事に対しても無関心だった主が……。

感慨深げに目を伏せ、アッシュは口を開く。
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