午前0時、夜空の下で
そんな彼が嗅ぎ分けた心の香りは、人間のもの、魔王のもの、そしてもう一つあった。

記憶のどこかにある香りだったものの、結局何の香りかは思い出せず分からなかったのだが。

また、人間の言語と魔族の言語が違うことも要因の一つだ。

魔王の力によって魔界の言葉が理解できるのだろうと思っていたが、久遠の森は、魔力を無効化させるのだ。

この森で心がアッシュと話せたということは、彼女自身が魔界の言葉を理解しているということになる。

「こころ、」

妃月の声に、心はのろのろと顔を上げる。

その瞳はひどく不安げだ。

妃月は意地の悪い笑みを浮かべ、心を見据えた。
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