午前0時、夜空の下で
「お前の血が欲しい」

色気を含んだ妖艶なその声に、心は目を見開いた。

先程の会話など忘れてしまったかのような清々しい態度に、ゆるゆると瞳が潤む。

「……ごめんなさい。信じてないわけじゃ、ないんです。でも、信じるのが、」

怖い、と。

擦れた声で囁いた心に、妃月の溜息が届く。

「その目で見たのか?」

答えようとして、ふと気づく。

……見た?

「……、そういえば……見てない、です……」

そう、あの日。

声は聞いた。

……でも、見てない。

詳しく思い出した心は、真剣な表情で水面に目を向ける。
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