午前0時、夜空の下で
「でも、ミスティアだってカルヴァローネ伯爵に同じことしてたじゃない?」

「……え、」

誰の目から見ても明らかなほど、ミスティアを特別扱いしていたカルヴァローネ伯爵。

そして、そんな想いに気づけなかったミスティア。

カルヴァローネ伯爵が来店しない日も、ミスティアは蝶として働いていたのだ。

辞めさせたいと思っても、それが黎明館となると難しい。

心は改めてカルヴァローネ伯爵の器の大きさを見た気がした。

アシャンは呆れたように頭を押さえると、心に視線を移す。

「ココ、とりあえずミスティアの代わりにカルヴァローネ伯爵についてて。こんな状態じゃあ、接客なんて任せられないから」

嫌とは言えない雰囲気に、心も無言で頷いた。

お詫びの酒を手にして、心はカルヴァローネ伯爵のもとに戻る。

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