午前0時、夜空の下で
「伯爵……?」

俯き、小さく息をつくカルヴァローネ伯爵。

呼吸をするたびに、彼の細やかな髪が、さらさらと揺れる。

ぼんやりとそれに魅入っていた心は、口を開いた伯爵の声の低さに、ビクリと身体を跳ねさせた。

「結婚できないから、想いを告げない? ……まったくの逆ですよ。もしミスティアが僕の手に堕ちたら、もう二度と彼女を手放せなくなる。すぐに結婚を迫って、籠の中に閉じ込めてしまう自信があるんです」

空色の瞳に心を映し、カルヴァローネ伯爵は鮮やかに微笑んでみせた。

「想いを告げなかったのではありません。告げられなかったのです。僕は、誰よりも身勝手ですから」

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