午前0時、夜空の下で
キシナの素性を知らない心は、ひどく悩んだ。

ふと、以前ノーラが言っていたことを思い出す。

……自らの血に誇りを持っている魔族にとって、人間は蔑視の対象である、と。

キシナが、人間を嫌悪していると決まったわけではない。

しかしその話を思い出してしまった心は、もうキシナに話す勇気がなくなってしまった。

キシナは、おそらく心を嫌っている。

初めは気の所為かと思っていたが、しばらくともに過ごすうちに、その思いは確信に変わった。

キシナは言葉が素っ気ないところもあるが、少しでも心が困るようなことがあれば、すぐに助けてくれるのだ。

まさに、守護人の鏡。

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