午前0時、夜空の下で
程なくして戻ってきた男性は、一度だけ頷いた。

「許可が下りました。こちらをお返し致します。確認のため、こちらの用紙をよく読み、記入をお願いします」

そう言って、用紙と羽ペンを手渡される。

用紙には魔界の言葉で、入国に際しての禁止事項などが長々と説明されており、最後の欄に記名する形式だった。

心は最初こそ魔界の言語をまったく理解できなかったものの、黎の城で教わり始めると、クロスリードも驚くほど早く習得したのである。

語学が苦手だと自覚している心は、妃月が何か魔力を使ったのだろうと考えていた。

また、この世界に来て学んだ言語はもう一つある。

国名や歴代魔王の真名にのみ使われる言語であり、その文字は特殊な場でしか用いることができないとされている。

クロスリードから初めてその文字を見せられた時も、心は不思議とその文字を読むことができた。

魔界の言語より読みやすいと感じたほどである。

そんな心を見つめ、クロスリードは何やら考え込んでいたが、心は妃月のおかげなのだろうと見当をつけたのだ。
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