午前0時、夜空の下で
名乗っても、大丈夫かもしれない。

カルヴァローネ伯爵は、琅の第一皇子だし、助けてくれるかもしれない。

浮かんだ考えを実行に移すべく、息を吸い込んだ……が。

「魔王陛下のご寵姫であるカザリナ様も、ココロ様を心配して独自に行方を捜していらっしゃるようですよ。お優しい方なんですね」

続けられた言葉に、グッと拳を握り締めた。

ゆっくりと、息を吐き出す。

一体、あの女のどこに優しさがあるというのか。

苛立ちを抑えた顔で、無理やり笑顔をつくる。

「そうなんですか? 知りませんでした。……蛇みたいにしつこい女なんですけど」

最後にポソリと零れた本音は、幸か不幸か男性には届かなかった。

「髪の色も目の色も通達とはまったく異なりますから、似ているのは本当にお名前だけなんですね。大変失礼しました」



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