午前0時、夜空の下で
「でもあたしは幸せ者だよ。あたしたち奴隷のために、泣いてくれる子がいるんだってことを知って……ウィーザーに助けられて。生きててよかった」

月明かりに照らされた部屋の中で浮かび上がる少女は華奢で、薄くくたびれたワンピースを身に纏っている。

それでも生きててよかったと言い切る少女のことを、心底強いと思った。

「私はココ。あなたは?」

「……あたしは、一九七三」

「えっ?」

意表を衝く答えに目を丸くし、次いで唇を噛み締めた。

日本で生きてきた心にとって、名前があることは当然で。

だからその考え方が一方的であったことに、相手の答えを貰うまで気づけなかった。

つくづく、思慮の足りない自分が嫌になる。

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