午前0時、夜空の下で
「ココ、もしよかったら……あたしに名前を付けてくれないかな?」

――奴隷には、整理番号しか与えられないから。

自己嫌悪に陥っていた心に、少女はやわらかく笑った。

「あたしたち奴隷は、モノとして見られるのが普通だから、ココみたいに対等に扱ってくれる魔族は初めてなの」

少女の言葉に、心は悔しげに顔を顰めた。

だが名前なんて大切なものを、心が考えてもいいのだろうか。

生まれて最初に贈られる特別なものだ。

ひとに最初の個性を与えるもの。

「ココが付けてくれるなら、何でもいいよ。だからお願い」

少女の真剣な様子に、困り果てた心は覚悟を決めて頷いた。

「ちょっと待って。真剣に考えたい」

腕を組み考え込む心の頭に、ある単語が過る。

「……ミルフィーユ」

「ミル、?」
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