午前0時、夜空の下で
「レイン様は、ミスティアのこと……」

「ご一緒にお連れするようにとの仰せです」

その返答にノーラはひとつ頷き、すぐに出立の準備を始める。

「レイン、怒ってはった?」

小さな桜色の唇をきゅっと噛み締め、ミスティアが迎えの者を見上げると、彼は困惑したように顔を伏せた。

「私からは、何とも……」

「……そっか」

翠玉を嵌め込んだ瞳が、不安げに揺れる。

ノーラはそんなミスティアを横目に、手早く荷物を纏めると、簡単に寝台の上を整えて部屋から出た。

宿の外には豪華な装飾に彩られた馬車が止まっており、見物人が集まっている。

馬車に乗り込むとすぐに、外の景色が動き始めた。

「琅って本当に派手好きなヤツが多いなぁ」

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