午前0時、夜空の下で
慣れない木靴で長い回廊を進みながら、心はクロスリードたちと言葉を交わした。

初めはぎこちない雰囲気で静かに歩いていたのだが、転ぶこと数回。

手を離せば転ぶといった状態の心は何度も彼らに助けられ、回数を重ねるうちにどことなく互いを警戒し合うような空気は払拭されてしまった。

どうやら、彼らの庇護欲を揺す振ってしまったようである。

「うわっ!!」

色気のない声を上げて再び無様に転んでしまった心を、クロスリードが呆れたように見やる。

素早く歩み寄ったアルジェンの手を借りて立ち上がった心は、眉間にしわを寄せてクロスリードを睨んだ。

「あなたの国にだって、そのような形の靴はあると文献に記載されていたはずですが。どうして何もないところで転ぶんですか」

「こんなに高いヒールは履いたことありません! それにこんな立派なドレスだって初めてなんです。お姫さまじゃあるまいし……」

「何を言っていらっしゃるんですか。今のあなたは、我が国屈指の貴族の姫と同等……いいえ、それ以上の地位と言えるでしょう」
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