午前0時、夜空の下で
始まりは妃月の命令で、嫌々ながら心の護衛官となったキシナ。

しかし今では、自分の意思で心の傍らに居続けていた。

髪を染め、瞳の色を変え、己の身分を隠し通す心に、妃月を頼ろうとする甘えは見られない。

「キシナ、私ね? あなたに隠してることがある。……以前、他人を信用しすぎて、騙されたことがあって。そのときから、どんなに近い存在に対しても、警戒心を持ち続けてる」

「いい心掛けだ」

魔界に来たばかりの頃は、妃月の近くにいる魔族を無条件に信じて、結果メイジーの罠に嵌まってしまった。

自分の甘さを思い知ったあの日から、心はミスティアたちにでさえ、気づかれないほどの小さな警戒心を抱き続けている。

そしてそれは、欲望と悪意が渦巻く城で必要不可欠なもの。
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