午前0時、夜空の下で
「……やっぱりだめ。どうしても行きたいなら、リーダーに言いな? 彼の言葉になら従うから」

じゃあね、と言い置いて、彼は心を地上に降ろすと同時に飛び立ってしまった。

すでにディアマンテでは暴動が起こっており、心もこのままでは危険だ。

仕方なく建物の影に身を潜ませ、周囲を窺う。

まさかの王都襲撃に、国民たちは逃げ惑っている。

「ウィーザーだ!!」

露店と同じように並べられていた奴隷たちが、歓喜の声を上げた。

奴隷を捨てて駆け出す売人の背に、白銀の刃が迫る。

上がった血飛沫を痛ましく見つめ、時間がないと心は唇を噛み締めた。

「頼るのは一番最後にしたかったけど――キシナ、」

音もなく、キシナは静かに顕現した。

その姿は月明かりも届かぬ闇に溶け込み、気配すらも一切感じ取ることができない。

しかし心は、そこにいるのが当然だと言わんばかりに口を開く。

「私をリーダーたちのところに連れていってほしい。……できる?」

笑みを浮かべて問い掛ければ、後ろからくつくつと笑い声が零れた。


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