午前0時、夜空の下で
突然の襲撃に悲痛な叫びを上げる者、我先に逃げようとする者、そして待ち望んだ解放に歓喜の声を上げる者……琅で最も安全な街と唄われた王都は、今やかつてない混乱に見舞われていた。

ミルフィーユは隠れたまま、そのすべてを瞳に焼きつけた。

握り締めた手は埃で汚れ、あまりの恐怖に震えている。

売人が護衛として雇った傭兵たちは、ウィーザーであろうと子どもであろうと躊躇いなく切り付ける。

「やめて!私はウィーザーじゃない!! どうか、どうか命だけは――あぁっ」

今までで最も大きな反乱となることはわかっていたものの、ミルフィーユの瞳に映る世界は想像の域を越えていた。

地面の砂も建物も紅く染まり、むせ返るような生臭い血の匂いが充満している。

まるで地獄のようだ。

ただすべてを見つめているだけなのに――感覚が、麻痺する。
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