午前0時、夜空の下で
頂きには琅の城がそびえ立っていた。

城の監視塔から反乱軍を察知し、鎮圧軍が出動したのだろう。

……おそらくここで、彼らの死闘が繰り広げられる。



「……ココ、」

キシナの声に促され心が視線を向ければ、荘厳な雰囲気を纏って鎮座した王城と、整然と並んだ軍が瞳に映し出された。

琅における奴隷の規模は、約五〇万人にも及ぶ。

その中でウィーザーに与した者は五万人であり、首謀者であるリーダーを含め選び抜かれた者たちだけが鎮圧軍と対峙していた。

その人数、約五千人。

そして今、目の前に立ちはだかる鎮圧軍は、一万人――ウィーザーの約二倍の規模であった。

王都や各地域にも人員を割き、選び抜いた者だけを集めたウィーザーと鎮圧軍の差は、歴然である。

今までの反乱において、ウィーザーは遊撃戦を仕掛けてきた。

しかし今回、圧倒的な規模格差があるとわかっていながら、リーダーは正面突破を選択した。

その最たる理由は、ウィーザーに与した奴隷たちの疲弊である。

終わりの見えない戦いに、彼らの士気が落ちつつあったのだ。

いつ寝返る者が現れるかわからない状況下で、遊撃戦を仕掛けることは難しい。

此度の反乱は、ウィーザーにとって最後となる決死の戦いだったのである。
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