午前0時、夜空の下で
それは、医学に関しても同じことが言える。

黎は魔界一の医学知識を誇る国なのだ、と。

キシナは心の凛とした表情に小さく笑みを零し、己の手を見つめ呟いた。

医学の知識も技術も、幼い頃からすべて叩き込まれてきたことを。

……いつか、自分が仕える者の役に立つために。

そしてようやく役立たせる日が来たようだ、と。



――キシナなら、きっとなんとかしてくれる。

それより、今は。

顔を上げた視線の先には階段があり、その最も高い場所に一人の男が現れた。

さらりと揺れる灰色の髪に、涼しげな水色の瞳。

彼は洗練された動作で、用意されていた華美な玉座に腰を下ろす。
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