午前0時、夜空の下で
状況を掴むことができない心は、困惑気味にミスティアへと目を向けるが、彼女も不安げにレインを見つめている。

仕方なく、厳しい表情でヴェルディを見据えるレインに向かって口を開いた。

「……奴隷制度の廃止は、不可能なんですよね?」

その声にハッとしたように心へと視線を転じたレインは、口元を歪め笑う。

「……たった一つだけ、方法があるんです。皇帝にも皇子にも不可能なことを、選ばれし姫だけが――叶えられる」

「選ばれし、姫……?」

怪訝そうに心が首を傾げたとき、バタンと勢いよく扉が開かれた。

「そう、第五皇女のヴェルディ様こそ、この琅でただ一人の選ばれし姫君」

明瞭な声が大広間に響き渡り、心たちは声の主を唖然とした表情で出迎えた。
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