午前0時、夜空の下で
誰もが厳しい表情で黙り込む中、心はヴェルディを見つめていた。

――もし自分が彼女の立場だったら、誰にも咎められることなく黎に行けるのに。

不可能だとわかっていても、望まずにはいられなかった。

やがて、動きを見せなかったヴェルディが再びミスティアに剣を近づける。

顔を動かす程度の隙間すらないほどに。

「だから、ミスティアが必要だったんです。私の願いは二つ。アンバーたちの解放と、奴隷制度の廃止。唯一の願いを奴隷制度廃止にするなら、お兄様を説得するもう一つの鍵が必要でした。そんなとき、ミスティアが現れたんです。……ミスティアなら、兄様も動かざるを得ないでしょう? 兄様が正妃にしたいと望む方だもの」

瞳に涙を浮かべて、ヴェルディは必死に訴えた。

そんな彼女をレインは悲しげに見つめる。

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