午前0時、夜空の下で
静まり返った大広間に、ジェイの声は残酷に響き渡った。

妃月に会えるのだと、そればかり考えてしまっていた心は、目が醒める思いだった。

――思い出せ、私がこの目で見てきたことを。

「私は、」

妃月への想いを押さえ込むように目を閉じ、心は自らに問い掛ける。

頭に蘇るのは――ミルフィーユに初めて出会った、奴隷の存在を知ったあの日の光景。

信じられなかった。

悲しかった。

何もできない自分が、悔しかった。

――けれど、今なら。

「叶うなら、私は願います。……奴隷制度を廃止してください。彼らを自由にしてください! これが私の唯一の願いです」

心が言い切った瞬間、ジェイは微かに笑みを浮かべて頷いた。

「兄上、私も賛成する」

ジェイの返答にレインは瞠目し、しばし固まったものの、やがて小さく頷き口を開いた。
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