午前0時、夜空の下で
「問題が無いわけじゃないんやけど……。ほら、選ばれし姫なんて、まさにその犠牲になっとるようなもんやん。上手くいけば側室にはなれるかもしれんけど、正妃を期待するほど世間知らずな姫もおらんやろ。妃を娶る必要がないから、選ばれし姫を一生無視して過ごす王もおったみたいやし」

「そういえば黎の王家は世襲制じゃないって言ってたね……」

頷きながら、心は改めて黎の特殊さを感じていた。

この魔界を統べる魔王が統治しているという事実こそ、他国と一線を画する最大の理由なのだろう。

ミスティアは心の考えを読んだかのように、重々しく頷いた。

「魔王は世界で最も魔力の強い者が受け継ぐ称号や。正妃を迎えなかろうが、側妃を無視しようが……すべては陛下の意思次第。うちら魔族にとって、陛下は絶対やから。……だからこそ、アンタの存在は特別や」
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