午前0時、夜空の下で
「……熱はないな。疲れが溜まっているんだろう。自分が望んだこととはいえ、別の存在に成り代わっているんだ。負担にならないはずがない。休んでいろ」

静かな声音に、心も逆らうことなく頷いた。

熱に浮かされたようにふらふらと、寝台の上に倒れ込む。

身体が弱いヴェルディに合わせて、夜着を身に纏っていたことが功を奏し、心はそのまま柔らかな寝台の中に潜り込んだ。



ゆらゆら、意識がさ迷う。

ふと気がつくと、心はまたもや真っ白な世界に浮かんでいた。

手も足も見えず、ただただ白が支配する世界。

ぼんやりと漂っていると、微かな声が耳に届く。

『……』

『……様、』

『……ル様』

あぁまたか、と瞬いた。

黒い“何か”だ。

真っ白な世界の住人は一体誰を呼んでいるのか、くゎんくゎんと声の波紋が広がっていくようだ。

『リー……様』

だんだんと声の波紋が大きくなる。

捕まってしまう、と心の中に恐れが生まれる。

そして、次の瞬間。

『……リーヴル様!』

真っ白な世界にはっきりと声が響き渡り、心の視界が薄い青に染まった。

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