午前0時、夜空の下で
ゆらゆらと、身体が揺れる。
ぼんやりと目を開けた心の視界は、透き通るような空色が広がっていた。
「お前が十六夜か」
低く心地よい声が耳に届いて、心は瞳を瞬かせる。
視線を巡らせば、二人の男女が目に入った。
男は悠然と椅子に腰かけ、目の前に立つ女を眺めている。
女の方に目を向けて、心は思わず絶句した。
――あれは、私だ。
十六夜と呼ばれていた頃の自分が、背中を真っ赤な血で染めたまま項垂れている。
心は二人に近づきよく見ようとしたが、宙に浮いた身体は思うように動かず、高みから見守ることしかできないようだ。
天族の血が目覚めた時、自分が十六夜であったことは思い出したが、当時のことは何も思い出せなかった。
自分は妃月の命を取り戻す代わりに、死んでしまったのだろうか。