午前0時、夜空の下で
「少し味わったが、飲み込んではいない。お前の血で死ねるなら、それはそれでいいかもな。
お前の血が俺の身体に浸透するなんて、究極の快楽を味わせてくれそうだ」

「死ぬわよ」

黎稀の冗談を受けて、十六夜は目を吊り上げた。

怖い怖いと笑いながら、黎稀は彼のお姫様を甘やかすように見つめる。

「じゃあ、俺たちは天族の流儀を真似しようか。愛しいひとを愛でるには、唇を合わせ、舌を絡ませて――」

言いながら黎稀は優しく十六夜に口づけ、そのままゆっくりと手を這わせる。

濃密な空気に心はいよいよ見ていられなくなり、耳を塞いで目を閉じたのだった。



そうして次々に場面は切り替わる。

そのすべてを、心はじっと見つめた。
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