男勝り少女と俺様男子
やっと見つけた人
…人が
人がいない。
そして、何故か流れている優雅なクラシック。
なんなんだこの音楽。全く曲名とか作曲者とかわかんないけど。
なんなんだよ。学校(ここ)は!
カチカチせっせと止まることなく動き続けている腕時計を見ると既に登校時間帯は過ぎ初日から遅刻というフラグが完全にたった。
て言うか今さっきのクラシックはまさかとは思うけど、一般高校生は当たり前の鐘の音なのか…。
普通はお馴染みのキーンコーンカーンコーンとか言うやつじゃないのか…。少なくとも私はそっちの方がいい。
迷った。人はいない。広すぎの学校。
…もうこうなったらヤケだ。
ヤケ。
私の頭の中で構成されたのは
1.帰る
2.ふて寝
3.必死に人を探す
…ろくな選択肢がないな。
帰っても明日また迷うだけだし。
…こうなったら(二回目)選択肢3しかないな。
ってかこんなことやってる暇はない!
「お前、何してんの?」
「え、」
背後から聞こえたハスキーだけど凛とした声。
人…人がいたぁぁあ!
後ろを振り向くと、多分180くらいは余裕にある長身で黒髪の男。すっとした綺麗な二重の目。筋が通ったこれまた綺麗な鼻。なんだかめんどくさそうに髪をかけ上げているがそんな仕草も絵になっている。ほー綺麗な顔してますねー。
キミ、俗に言うイケメンって奴ですか。
「おい。聞いてんのか。」
「あ、あぁ。悪い。この学校の生徒だよな?悪いんだけど案内してくんねぇかな?」
そうだった。
ってもう遅刻は決定なんだけど。
別に、方向音痴ってわけじゃないからな!
「俺はお前を迎えに来たんだ。わざわざ迷子のお前をな。」
言い方はどうかと思う。だけど、だけど何も言い返せません。むしろ申しわけない。