男勝り少女と俺様男子

変な転校生



苑side


「あぁ、ちょうど良かった。」


このひとことが始まりだった。
今日くる予定の転校生が登校時間になってもこないらしい。
この学校はとてつもなく広いからな。転校生の迷う率は100%だ。

だからと言って、何故俺(様)がわざわざ迷子の転校生を探しに行かなければならないのか。
まぁ、(糞)つまんねー授業をサボれるから良しとしよう。


ったくその転校生とやらはどこで迷ってんだよ。
…しかも性別聞くの忘れたし。



「……っと」


アイツか?


いかにも迷子らしくあたりをキョロキョロ見渡している奴がいた。制服のYシャツから見える腕は細くて白く儚い感じにも見えた。
……てか男?女?


性別不能。コレが第一印象だ。


「お前、何してんの?」

声をかけると少しビクッとして直ぐに振り向いた。
え、女?だよな?
顔は中性的な顔だが肌の白さから女と判断した。



…でも本当に女か?
今まで初めてあった女の初対面と目があったときはたいてい次のどちらかの二つだった。


1.目を見開いて顔を赤くする。
2.とっさに目をそらして俯く。


コレを言って察しない奴はいないと願いたい。
他の女達にそこまで騒がれたらイヤでも気づく。
ま、女には困ったことのないイケメンってやつ?
でも、コイツ(転校生)は顔を赤くする事もなく真顔でポカンとこっちを見つめている。
俺は不覚にもその透き通った漆黒の瞳にドキッとした。

…ドキッとした?
この女に?


…疲れてんのか。


て言うかこの女聞いてんのか?
わざわざ俺様がきてやったのに。


「おい。聞いてんのか?」


「あ、あぁ。悪い。お前この学校の生徒 だよな?悪いんだけど案内してくんねぇ かな?」


…やっぱり男?
いや、女だ。
……人生で初めて女にお前って言われた。
結構な衝撃だったけど此処で怖じ気づくほど柔な俺でもねぇから。


「俺はお前を迎えに来たんだ。わざわざ 迷子のお前をな。」



コイツの顔にはなんも言い返せない。と書いてあった。



苑side end

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