威鶴の瞳




「昼持って来たぞ」



ハッと気付けば、また竹原さん。

お昼……?



今度は場所は変わっていなかった。

ただ、時間がおかしいのと、さっきまでここに『居た』のに、今『来た』竹原さんに、また違和感。



……これはきっと、さっきとは別の日な気がする。

だって4時間くらいここにいたのに、お昼が来なかったわけがない。



「竹原さん……今、12時なんですか?」

「……お前、違うな」



……何が?



「依鶴さんじゃないだろ」

「え……『依鶴』ですけど」

「あ、いや、違うんだ、依鶴さんじゃない方の『依鶴』さんで」



この人、頭大丈夫だろうか?

さっきまで助け舟のような気持ちになっていたけれど、突如不安がこみ上げてくる。
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