教組の花嫁

 「少しいいかしら」


 上から声がした。
 百合葉は小波の前に正座をして、小波の顔を覗き込んだ。



 「はい、何でしょうか?」
 「今日の夜、特別の奉仕をやってもらえないかしら」

 「特別の奉仕ですか?」
 「そうよ。教祖様を癒して差し上げる特別の奉仕よ」

 「教祖様を癒して差し上げる。何をすればいいのでしょうか」

 「詳しくは後で説明して上げるわ。凄い特権よ。どう引き受ける?」

 「はい、わかりました」
 「7時に住居棟 1階のエレベータの前に来てくれる」

 「エレベータの前で7時ですね」
 「じゃ、後ほど」



 百合葉は小波の前から立ち去ると、右側の監視カメラの方に向かって歩き始めた。





 
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