教組の花嫁
 
 百合葉は受付に行った。


 受付に座っている日吉美和に、百合葉が尋ねた。


 「星野さんの携帯の番号を、教えてもらえないかな」
 「あっ、千葉様。少しお待ち下さいね」


 美和は、最高幹部の千葉百合葉を見て驚いた表情をした。そして、そばに置いている自分の携帯から、小波の電話番号を調べ、百合葉に教えた。


 「ありがとう」


 百合葉は美和に礼を言うと、外に出て、小波に電話を入れた。


 「もしもし、千葉です。小波さん、今どこにいるの?」
 「あ、千葉様。いま道場にいます」


 小波が携帯電話を取り、瞑想を中断して電話に出た。


 「少し時間を取れない」
 「いいですけど」


 「じゃ、住居棟1階の茶室に30分後に来てくれない」
 「わかりました。伺います」


 暫く瞑想をして、小波はジャージから私服に着替えた。そして、茶室に向かった。





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