教組の花嫁

 百合葉が真剣な顔をして口を開いた。


 「小波さんだから、今までの経緯を正直に話すわね。今から話す事は、くれぐれも内密にしておいてね」

 「・・・」


 小波は百合葉が何を話すのか、どきどきしながら、耳だけに神経を集中させていた。


 「奥様の泰子様にも、私にも、子供は出来なかったの。でも、教組様には絶対に跡継ぎが必要だった」


 百合葉が教団の秘密を話し始めた。



 「・・・」


 小波は、固唾を飲んで百合葉が話す言葉を聞いていた。



 「それで、奥様は二人、私はひとり教祖様に若い女性を差し出す事になったの。跡継ぎを作る目的でね。でも、教祖様は手をお付けにならなかったわ」


 百合葉が言葉を噛みしめながら呟いた。



 (これがハーレムの真相だったのか)



 小波は、百合葉の話す事柄を興味深く聞いていた。。





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