教組の花嫁
  
 「ホステスと言っても下世話なホステスじゃ無いわね。お相手するのは雲上人なんだから」


 百合葉の説明が続く。

 「・・・」

 「まず、言葉遣いに気を付ける。天皇陛下とお話しすると考えればいいかしら。それから、質問攻めにはしない事ね」

 「堅苦しいねんな」


 純が小さな声でぼやいた。


 「それよ。その言葉遣いが、まるで駄目。あなた天皇陛下に向かってそんな事言う。言わないでしょう。もう一度、言い直してご覧なさい」


 百合葉がすかさず純をたしなめる。


 「堅苦しいでごございますね。あっ、舌を噛みそうや」

 「これ、敬語を使う事を忘れないように」

 「舌を噛みそうでございますね。あかん、肩が凝ってきた」

 「あなたは余り喋らない事ね」
 「は~い」


 そう言って、純は口にチャックをするジェスチャーをした。


 
 「だから、教祖様が質問される事に、短い敬語でお返しするのが、話し方の基本と思えばいいわね」
 
 「わかりました」


 小波が百合葉の顔を見て答えた。




 
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