教組の花嫁
 
 小波は、607号室で北河と話をしていた。


 「私、北河さんと会っているのを、人に見られたくないの。ここで話をさせてもらってもいいかな」

 椅子に腰を掛けた小波が言った。


 「僕は構わないけど」

 北河は小波の提案を快く了承した。


 「何の仕事で大阪に来たの?」

 小波が北河に尋ねた。


 「ええと・・・いろいろ」
 「・・・」
 「仕事の事なんかいいじゃないか」


 「北河さん、もしかして私に会いに大阪まで来たの」

 小波が意味深な笑みを浮かべた。


 「まあな」


 北河は否定をしなかった。


 「やっぱり、そうね。だって、撮影道具持って来てないもの」
 「星野さんには敵わないな。実は、休暇が取れたんだ。そしたら、無性に星野さんに会いたくなったんだ。迷惑?」


 北河が、関西に来た本当の理由を正直に白状した。





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