教組の花嫁

 「お前は何を言っとるのかね」

 道心が怪訝な顔をして言った。


 「あの女の子は、東京のカメラマンの子や。なあ、ほのかはん」
 「奥様が言われた通りです」


 ほのかが口を挟んだ。


 「あの女の子とは、永心の事かね」


 「そうです。永心様の事です。永心様は北河と言うカメラマンと、星野さんとの間に産まれた子供です。誠に申し難いのですが、教祖様の子供ではありません」


 ほのかが、道心に言い難い事をはっきりと告げた。


 「証拠はあるのかね」

 道心が厳しい口調で言った。


 「証人が二人います」
 「その二人をここに呼びたまえ」


 二人の証人を呼ぶように道心が求めた。





 
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