教組の花嫁
 
「今ここにはいません。教祖様が必要と言われるならば、後日それらの者を、ここに連れてまいります」


 ほのかが言った。


 「君ら二人は、証人も連れず、証拠も見せないで、私にそんな不愉快な作り話を、抜け抜けと言うつもりなのか」


 道心は、証人も連れずに不愉快な話をする二人に呆れ果てていた。


 「作り話ではありません。10ヶ月ほど前に、東京から元同僚のカメラマンが、星野さんに会いに来ました。その時、二人はホテル泉の607号室で、深い関係になったのです。二人がその部屋に入った目撃者なら、今ここに呼ぶ事は出来ます。呼んで来ましょうか」


 ほのかが自信を持って語った。




 「目撃者は、二人が深い関係になったのを見たというのかね」




 道心が憎憎しげに言った。






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